藤原辰史
歴史学者の藤原辰史さんは、「自然界で分解されないもの、あるいは社会でリサイクルされないもの、修理しにくいものを、私たちや企業がつくりすぎてきたこと。そして、分解されないものが人間の体を破壊してきたという歴史が、あまりにも忘れられすぎているのではないか。もし大学や企業が、いわゆる社会的責任というものを果たすのであれば、こういった歴史を直視する誠実さと知性が必要ではないか」と問いかける。ゴミや汚物を生分解する生物がいるからこその循環を見つめ直し、人間は正しく分解者であるべきと語る。
藤原辰史
京都大学人文科学研究所准教授

1976年生まれ、2002年、京都大学人間・環境学研究科中途退学、
同年、京都大学人文科学研究所助手、東京大学農学生命科学研究科講師を経て、2021年4月現在、京都大学人文科学研究所准教授。研究テーマは、食と農の現代史。主な著作に『ナチスのキッチン』(共和国、河合隼雄学芸賞)、『給食の歴史』(岩波新書、辻静雄食文化賞)、『トラクターの世界史』(中公新書)、『戦争と農業』(集英社インターナショナル)、『分解の哲学』(青土社、サントリー学芸賞)、『縁食論』(ミシマ社)、『農の原理の史的研究』(創元社)、『歴史の屑拾い』(講談社)、『植物考』(生きのびるブックス)など。